2012/07/18

アルフォンス・ミュシャ館

今日の”「匠」の日記”は自称 美術鑑賞好きな寺本がお送りします、美術レポートです。


今回は1度行ってみたかった『アルフォンス・ミュシャ館』に行ってきました。
大阪堺市にある当館は年に3回の企画展を開催し、毎回テーマを変え画家であり
デザイナーでもあったミュシャを様々な角度から紹介しています。
堺市が所蔵する約500点にのぼるミュシャ作品は、株式会社ドイの
創業者 土居君雄氏(1926-1990)が収集したもので、ポスターや油彩、
素描などで形成される充実したコレクションからは、ミュシャの活動初期から
晩年にわたる幅広い活動が伺える展示となっています。

ミュシャは、現チェコ共和国の南モラヴィア地方に生まれ、19世紀末の
ヨーロッパで興った装飾様式アール・ヌーヴォーの旗手をして不動の人気を得た画家です。
ミュシャの作品のなかでも、女優サラ・ベナールとの出会いによって生み出された
数々のポスターは、彼の名をパリ中に広めることになりました。


展示”1.伝統と革新”では特に有名な『ジスモンダ』と同時期に描かれた水彩画や、
ベルベットに印刷された壁紙(当時19世紀フランスで写実でかつ自然主義的な
壁紙が流行していた)、本の挿絵「白い像の伝説」などからアカデミックな
技術と新しいデザインの融合を模索している過程が感じ取れました。

展示”2.花の名は”ではアール・ヌーヴォーに大きく影響を与えたイギリスの
芸術運動”アーツアンドクラフツ”によるデザイン変化と、
ミュシャが他のデザイナーよりも注目をあびた理由として、植物観察や
心霊的なものを通じて感覚に訴えるデザインを探求していた事が解りやすく
展示されていました。

花々に囲まれた優美な女性像を得意とし、挿絵やポスター、装飾パネルを
制作したミュシャですが、晩年は活動の拠点をチェコに移し、芸術を通して
祖国の独立を発展に寄与しました。
よりアカデミックな手法を用いるなどフランスで活躍した頃とは方向性に
変化が見られます。


連作”四季” ”四つの花” ”四つの星” や ”ジョブ”、”メディア”などのポスターと、
ミュシャの代表作が鑑賞できる素晴らしい展示ですので、是非1度ご覧になっては
いかがでしょうか。


以上、寺本の美術レポートでした。


堺市立文化館 アルフォンス・ミュシャ館
http://mucha.sakai-bunshin.com/

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