2012/09/04

フレームセンター 額装のココロ


お世話になっております。
フレームセンターの夏男とは呼ばれていませんが、
夏生まれの杉山真也です。
今年もめでたく人知れずひっそりと一つ年をとりました。

さてフレームセンターの顧客様に
花井正子さんというイラストレーターの方がいます。
その方が今、和歌山県は熊野古道の
「熊野古道なかへち美術館」というところで個展を開催されています。
「花井正子展 紀州 LIVE×いとなみ」です。

僕は花井さんには個展の度に額装の仕事をいただいていて、
年に1度くらいの割合だと思うのだけれど、
足掛け10年以上お付き合いさせてもらっています。
学生の時の紀伊半島一周旅行の記憶の
あまりに時間がかかるというイメージから、
かなり迷っていたのですが、えいやっ!で行ってきました。紀州。


この熊野古道なかへち美術館というところは
写真ではとてもモダンな外観ですが、
サイズはとてもコンパクトで、
ちょっと大きなアートギャラリーという感じのたたずまいでした。
紀伊半島の山奥(ほんとに山奥の奥)の集落の中、
川沿いにぽこんと建っていました。静かなところでした。
いい意味で無音というか、山と空。と川。

展示会は花井さんが全身的に紀州に浸かっているという感じの
エモーショナルな作品群(短冊での短詩も多数展示してある)で、
見ている時はかなり過剰な印象で、どう共感していくかと少し戸惑ったりもしました。
やはり額装段階と、意図を付けての展示は違い、
展示会場での作品群はかなり強いものになっています。

僕は僕の中での印象を明確な言葉に変えないようにして美術館を後にしました。

で、また山と山と山と川の道を延々と進みます。日本は山国。
藤原新也の「日本景ー伊勢」という写真集がありますが、
(この写真集は秀逸。)
その中ではここまで山ばかりではなかったんじゃないかなと思いながら、
ひたすら走りました。
船ちゃんゆかりのアドベンチャーワールドでパンダをなでなでして、


海岸沿い、42号線をひたすら進みます。いろいろ奇岩の名勝があるのですが、
ゆっくりはしていられません。強行軍です。追い越しができない42号。
ひたすら走ります。

次の目的地の那智大社・那智の滝が近くなってきた頃、
不意に不思議な感情が湧きあがってきて、何故か一瞬、号泣。

紀伊半島、全般的に橋を通ると川の流れが緩やかでした。
先の台風での豪雨被害の場所とかありましたけれど、
基本的にはゆっくりと山より海に向かう川の流れでした。
花井さんが描いていた紀州が、
僕にもちょっとばかり感じられた瞬間だったのだと思いました。
雨が多い紀州。その日も降ったり、止んだり、晴れたり。


僕のような、ものの何たるかがわからない者が
一回素通りしたくらいでは、紀州の何ものかなどがわかるはずもありません。
ただ不意に、一瞬、何か言葉よりも深いものであろうものが
よぎったような記憶が残りました。

花井正子さんの個展、9/23までやってます。
遠いですが、紀州も絡めて行く価値大だと思います。







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